2014ベストバウト。《その3》

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2014・8・24日に京都で行われた極真祭(全日本高校生女子無差別)で行われた試合について。

それは16歳で出場しながらも、高校3年生までを含めた混合のトーナメントにおいて、震えが来るような快挙達成の瞬間でした…。《以下、過去の自らのブログから抜粋しました》

 

 

自分も1週間前から緊張感はありました。

自分の普段の試合と同じように、遠征する前には自宅を掃除したり、部屋で倒れている物を起こしたりしていた。

自分の試合前には無意識にそういう事をしたりするクセがありますが、それに近い緊張感がありました。(これを疎かにして今回生徒達が負けたら嫌だなと)

今回の彼女の試合は本当に大一番の試合だったと感じます。

多くの関係者が注目していた、国際大会5連覇中の王者との対決を決勝戦で控えていました。(連勝記録は昨日まで美優さんよりも積み重ねていたのではないでしょうか)

朝、彼女の笑顔をみて安心しましたが、生徒達の全ての試合と大会が終わるまでは一切気を抜けなかったです。

圧倒的な強さで決勝戦まで勝ち上がる。

負ける要素は無いと自分も確信していたので全ての試合を近くで見守りました。

大会中にかけた言葉は『お父さんとの戦略を大事にして、一つ一つ大事に戦おう』

決勝戦前には『美優、最後だぞ』と背中を叩いただけです。

「頑張れ」なんて言葉は簡単にはかけられなかったので、合間に体調を気にしたり雑談はしていました。

自分の体を叩かせて、朝のアップに付き合いましたが、抜群のキレと破壊力、モチベーションの高さも感じました。

6月の体重別の全日本大会後に彼女から頼まれたのは、自分が持つミット稽古でした。

ずっと いつでもやる気持ちはありましたが、彼女が その稽古を必要とするまでは何も言わずに、彼女の稽古を尊重してきました。

あれは一度や二度、その時により、やる稽古ではなく、また それだけではキツいだけで何も変わらないんです。

彼女は時に目眩がするまでその稽古で追い込み続けました。

7月の関東大会前のミット稽古では、連日の試験勉強での寝不足もあったようですが、彼女はミット稽古中に目眩がして数日間、頭痛を伴うまで追い込みました。

自分の体を叩かせ蹴らせながら、彼女のミットを持とうと思ったのは 彼女のそれだけの覚悟や、強くなりたい気持ちを感じたからです。

喜んでやらせて貰おうと思い、6月から毎回の稽古や稽古後に取り組んできました。

彼女の攻撃力を体感する中で日に日に変化をしていくのを感じ取れました。

どのリズムで、一つ一つの技をどの様に強くさせようかと自分の中でもイメージがありました。

自分が経験してきた空手を役に立てられる事も当然嬉しくは思います。

あのミット稽古は自分自身も、同じ様に誰かに持って貰いたいと思う気持ちもあります。

なかなか それは難しくもあり、選手と持ち手の呼吸が必要になりますし、感性も必要になる事や、色々な事を考えると同じ様には出来ません。

長く続けていくと、持ち手との呼吸や、タイミングが合うようになります。

本気で来てくれているのだから、同じ気持ちで接したいなと思います。

そして彼女とお父さんの絆とその信頼関係や、長年の想いが、永吉美優さんという選手を築き上げてきたんだなと感じます。

昨日の決勝戦の佐藤選手も素晴らしい選手ですし、過去には美優さんを上回る金字塔を打ち立ててきた本物のチャンピオンですし、簡単に勝たせてくれる相手ではないんです。

美優さんは決勝戦の舞台に上がる直前に手が震えて力が入らなかったそうです。(大会前の最後の調整の稽古でも、彼女が珍しく緊張していたのですが、それだけ重大な試合を控えているという事を感じているのだなと思いました)

決勝戦直前の震えは対戦相手が怖いとかではなく、自分が置かれた状況や立場と、必ず勝つと義務付けられたプレッシャーからだったと感じます。

ただ そんな窮地に追い込まれた極限のプレッシャーの中で、あの強敵を前にあの組手をして、完璧な勝利を掴み取って舞台を後にしてくる美優さんがどれだけ凄いか、簡単な言葉ではまとめられないです。

偉業を成し遂げて、控え場所に戻ってきた彼女とお父さんは既に決勝戦を振り返りその試合の反省と冷静な分析をしていました。

嬉しくて泣き崩れるとか 、満面の笑みとかでもなく、その試合に関しての分析と、自らの決勝戦直後に今後の為にと、一般女子の決勝戦を観察しながら冷静な分析と、彼女はそれに向けた今後の課題をお父さんと模索していました。

既に一流の本物のアスリートだなと驚かされるばかりです。

中学生の国際大会での3連覇の偉業を成し遂げた直後に話した時も、昨日と同じ表情だったのを覚えています。

永吉美優さんとはそんな生徒です。

大会表彰式後『美優はこれからだから、自分の可能性を大事にあたためていこうよ』と伝えました。

 

 

以上、過去の自らのブログから。

8月以降、更に厳しい稽古に取り組んできた彼女は日に日に変化を繰り返してきました。

誰もが選手として毎日変わりたいと考えている中で、伸びシロが仮に沢山あったとしても誰もが簡単には変われないのが常であり、そんな状態が長年、もしくは現役選手を引退するまで続いたりも当たり前にあり得ます。

そんな中で彼女は、今年の8月から2014年の間に更に大きく変化を繰り返して来ました。

彼女は今週12月7日(日)には茨城県武道館にて初のフルコンタクト(素手素足)の試合となる秋季関東大会での一般選手権大会に挑みます。

計り知れないポテンシャルと可能性とプレッシャーと、それを跳ね返す心身の強さや努力を積み重ねて今後に挑みます。

ただひたすら、今までやってきた事や積み重ねた努力を信じて、一般での戦いを楽しんで貰えたらと願っています。