《2018東日本空手道選手権大会【一般選手権・体重無差別】多田将太朗選手が2年連続の第3位入賞!!》

■2018年7月28日(土)墨田区総合体育館にて【2018東日本空手道選手権大会】が開催された。

昨年2017年11月に茨城県武道館で行われた【第25回全関東空手道選手権大会】では、階級を上げて重量級となる(+80キロ級)にエントリーした多田将太朗選手【城西世田谷東支部・東大和道場】

90キロ、100キロ超級の選手達が集った無差別級トーナメントと呼ぶに相応しいカテゴリーにおいて、秋季関東大会での2連覇優勝を成し遂げている。【2016(-80キロ級)・2017(+80キロ級)秋季関東大会】

—年を明けた2018年—

2018年4月に東京体育館で開催された【第35回全日本空手道選手権大会】には、中量級(-80キロ級)での優勝を狙って出場した。

初日の2試合においては、海外勢との激しい戦いにも、確かな強さを見せ付けて2日目へと進出した。(2回戦では延長戦での上段右内廻し蹴りによる一本勝ちを納めている)

3回戦では同大会で優勝する事となる、樋口知春選手(東京城北・富士見台)との対戦となるが、改定ルールの足掛け下段突きによる合わせ一本敗退となり…昨年秋の第49回全日本大会に続き、足掛け下段突きによる無念の合わせ一本敗退の結果となった。(体重無差別の第48回・49回全日本大会では2日目へと駒を進めて、3回戦進出となるベスト32入り)(トーナメント128人中)

2018第35回全日本ウエイト制大会の翌週からは気持ちを新たに、更に改定ルールを研究しながらの稽古を積み重ねる日々を再開した。

常々、課題としてきたパワーアップに引き続き取り組みながらも、持ち味の鋭い蹴り技の数々には、更に磨きを掛けながら日に日に強さを増していた。

迎えた今大会【2018東日本空手道選手権大会】

多田将太朗選手は優勝候補の一角としてトーナメントに配置されていた。

トーナメントの四つ角には、新勢力若手の高橋扶汰選手(東京城北・大泉)、多田将太朗選手(城西世田谷東・東大和)、【2015第11回全世界大会】日本代表の山川竜馬選手(東京城北・上板橋)、【第5回全世界ウエイト制大会・軽量級王者】小沼隆一選手(下総・愛宕)が配置されるハイレベルな大会となった。

1回戦はシード、初戦となった2回戦は、橋本拓人選手(東京城西・明治大学同好会)と対戦するが、終始、有効打を纏めて(本戦5ー0優勢勝ち)により、危なげ無く準々決勝戦へと駒を進めた。

準々決勝戦は【2016・2018千葉県大会王者】小嶋和真選手(本部直轄松戸)との一戦。

2016年の同大会【第24回全関東大会】の準々決勝戦で対戦した両者は、(本戦3ー0)で小嶋選手が勝利していた。(5審判制)

リベンジを胸中に、小嶋和真選手と対峙する多田将太朗選手。

小嶋和真選手を終始、懐に入れない完璧な試合内容で、最初の山を難なく突破する。(本戦4ー0優勢勝ち)

緻密に計算された戦いぶりは、まさに【ITファイター】と呼ぶに相応しい組手だが、実際にはこの2年間で、肉体的にも精神的にも確かなパワーアップが施され、打たれ強さを増した中に、改定ルールの押しの技術を使いこなす充実の試合内容でもあった。

優勝を目指して挑んだ今大会、最大の山場を迎える事となった準決勝戦。

対戦相手は2015年【第11回全世界大会】日本代表の山川竜馬選手(東京城北・上板橋)との一戦となった。

身長186センチ・体重100キロの重量級の強豪、山川竜馬選手と対峙する。

激しい打ち合いとなり、山川竜馬選手の強烈な下段廻し蹴りを、ことごとくカットする多田将太朗選手が懐に入りながら、速射砲の如く突き技の連打を纏めて下段廻し蹴り、左中段廻し蹴りへと繋いだ。(有効打となる下段廻し蹴りは一発も貰わずに全てカットしていた)

一発の威力のある山川竜馬選手に対して、中盤過ぎまでは、手数、足数で確実に上回る戦いぶりを見せた多田将太朗選手。

終盤、更に激しさを増す中…

パワーで前に出てくる山川竜馬選手が、改定ルールの押しの技術を武器に二度三度、多田将太朗選手を場外へと押し出した。

ラスト10秒…起死回生を狙う、右の鋭い上段内廻し蹴りを繰り出した多田将太朗選手が、最後は左上段廻し蹴りを繰り出したが空を切った。(本戦0ー5判定敗退)

重量級の日本代表選手との激しい激闘を繰り広げながら、組手内容こそ互角以上の空手を見せ付けながら、存分な強さを発揮して試合場を後にした多田将太朗選手。

第3位決定戦では、【2018国際ワールドユースエリート・-75キロ級王者】の山上大輝選手(東京城北・光が丘)との一戦を迎えた。

身長182センチ・体重76キロのサウスポースタイルで、右の上段前蹴りを主体に、突きから左の中段廻し蹴り、上段廻し蹴りのコンビネーションで技あり、一本勝ちを狙う山上大輝選手。

対する多田将太朗選手はガードを固めながら、相手の出方に合わせるカウンターの左右の下段廻し蹴り、鋭い突き技の連打で応戦する。

逆サイドの準々決勝戦では、ベテランの小沼隆一選手(下総・愛宕)から、鋭い上段前蹴りによる技ありを奪い、後半、巻き返しを図る小沼隆一選手を相手に、更には試合巧者ぶりを見せ付けての金星を挙げながら、ベスト4へと勝ち上がってきた山上大輝選手。

変幻自在に幾度も放たれる、山上大輝選手の右の上段前蹴りが、再三、多田将太朗選手の顔面を掠めるが、どれも完璧なクリーンヒットには至らない。

蹴り技をヒットさせられ、ヒヤリとする場面もあるが、山上大輝選手の蹴り足を離さず、【残心】の技ありを極めさせない勝負への執念を見せ付ける多田将太朗選手。(両者縺れる形となり主審に別けられる場面も)

後半は全ての技を見切りながら、一気に前に出ながら畳み掛ける多田将太朗選手の左右の下段廻し蹴りは、山上大輝選手のフットークと蹴り足を確実に止めさせた。(本戦5ー0優勢勝ち)

2018東日本空手道選手権大会・第3位を確定した。

準決勝戦では、強豪の山川竜馬選手に敗れはしたが、多田将太朗選手が、今持てる全ての力を出し尽くしながら、揺るぎない本物の実力を発揮する大会となった。

試合場を縦横無尽に動き回れるフットークの速さと、対戦相手がなかなか捉えきれない、ボディへの細やかなディフェンステクニック、完璧に計算し尽くされた緻密な空手と、いざ勝負所では攻撃的な組手スタイルへと、シフトチェンジする事も得意とする多田将太朗選手。

速射砲の如く繰り出される突き技の連打は、実に的確で、実際には見た目以上の攻撃力があり、現在もその破壊力を増し続けてもいるが、左右の上段による足技も多彩に使いこなせるセンスもあり、技あり、一本勝ちを狙う精度を高めて来てもいる。

秋に体重無差別で行われる【2018第50回全日本空手道選手権大会】に向けて、多田将太朗選手の更なる活躍に期待が高まる。

2018年10月27・28日(土・日)、武蔵野の森スポーツプラザにて開催される【第50回全日本空手道選手権大会】

一般男子128人のトーナメントにより体重無差別で行われる、極真空手・国内最高峰の大会となり、来年2019年に体重無差別で行われる【第12回全世界空手道選手権大会】の日本代表選抜戦となり、第50回全日本大会での上位8名には、日本代表として世界大会への出場権利が与えられる大会となる。

毎年秋に行われている全日本大会には、世界トップクラスの強豪外国人選手達を含む、数十名の外国人選手達がエントリーしている大会でもあり、今年行われる第50回全日本大会は、無差別の世界大会に匹敵する大会となる事が予想され、日本人選手達の戦いに注目が集まる事となる。

◾️2018東日本空手道選手権大会【一般選手権・無差別級】

第3位

多田将太朗【城西世田谷東・東大和道場】

—2018東日本空手道選手権大会を終えた直後—

『良かった部分、良くなかった部分、気持ち的には半々です…(安心した気持ちや試合後の高揚感、満足感、悔しい気持ちを含めて)』(多田将太朗選手)

静かな表情で答えていた彼だが、その表情からは目標を見据えた更なるヤル気と、空手を楽しむ強い気持ちが感じられた。

試合を終えた翌々日の火曜日からは、いつもと変わらぬ様子で道場に来て、クラス稽古も自主トレでも黙々と稽古を積み重ねていた。

彼は勝っても負けても、浮かれたり落ち込み過ぎたりという事も無く、いつも特に何も変わらない。

現在は大学3年生となる現役の東大生でもある彼だが、毎日の忙しい勉強以外にも様々な事に取り組み、尚且つ極真空手の修行に明け暮れる日々。

マイナスな発言や、物事に対する不平不満、人の悪口等も一切発しないし、多弁でもないが、明るい性格の持ち主でもあり、目標に向かって日々淡々と、前向きに行動が出来る人物であり、それらも彼の最大の長所であり、才能だとも感じるが、彼は長きに渡り積み重ねてきた極真空手を、生きる上でも、本人の自信にしながら大切にしてもいる。

多田将太朗とは、そんな生徒でもある。

秋の第50回全日本大会に向けてあと2ヶ月。

彼自身が悔いの残らない人生となる様に、一つ一つをしっかりと積み重ねて、極真空手の大舞台へと挑んで貰いたいと思う。

2018/8/17

金久保典幸