〈水曜日少年部クラス〉
一番最初に道場に来た女の子達が、昨日の試合の感想を沢山聞かせてくれた。
野津皆愛さんも本当に頑張ったし、明るい笑顔で、彼女の試合の感想を聞かせてくれた。
きちんと分析が出来ているし、確実に次に繋がる立派な話の内容だった。
火曜日の支部内交流組手試合で、初出場で見事、優勝してきた儀保和香奈さん。
嬉しそうだったな。
今は一週間、殆ど毎日稽古に来ていると思う。(最近ではお姉ちゃんと一緒に2クラス連続参加も)
【◯◯◯◯先生って誰?どこの道場の先生?】と、10回以上は聞かれた。
気になっていたみたい。
【あはは、知りたい?誰かなぁ?後で教えてあげるよ!】と、何回も答えて、稽古後、皆の前で話すのを忘れていたから。
和香奈さんの事を話してくれたのは、Aコートの主審を努めていた、昭島道場の大澤佳心先生。【2017第6回全世界ウエイト制大会・中量級世界チャンピオン】
【儀保和香奈ちゃんて、何か(これまでに)やっていたんですか?めっちゃ強いですよね…突きとか強くてビックリしました…】と、褒めてくれていた。
儀保和香奈ちゃん、極真の世界チャンピオンに褒められていたよ。
彼女、知ったら喜ぶだろうな。
今回優勝した生徒達に限らず、空手と道場や仲間を好きな子供達は心身共に必ず強くなっていく。
日々、そういう雰囲気作りをしてある。
試合は勝っても負けても一生懸命にやれば良い。
日々の稽古を真剣に取り組む事の方が大事だよと。
多くの物事の点と点が線で繋がっていけるように。
支部内組手試合に出てきた子供達全員に、試合の感想を聞きながら。
全部が、彼らにとって勉強だから。
そして今回の敢闘賞となる【せたひが賞】は、初戦から決勝戦までの5試合を圧巻のパワーと集中力で戦い抜き、見事に初出場初優勝を遂げた秋庭仁君へと手渡した。(小学4年生+30キロの部で優勝)
彼に敢闘賞の盾を手渡す際に。
【え!?なにこれ?昨日のメダルと賞状と違うの?…】と、ピンと来ていない彼だったが。
【せたひが賞】敢闘賞の意味と、何故、今回、彼に渡すのかを細かく説明すると、内容を理解した彼はメッチャ嬉しそうにしていた。
4歳の頃に東大和道場に入門して、その時にも、殆ど毎日稽古に来ていた幼き頃の仁君。
空手や道場での仲間達との交流をとても楽しんではいたものの、まだまだ幼かった故に、しばらくするうちに稽古に通う事に気乗りしなくなり、まだ空手の意味も何もかも分からぬままに、空手と道場を一度退会した経緯がある。(入門して半年くらいだったかと思うが、まだサポーターを付けた対人稽古も未経験の状態ではあった)
のちに、彼が通う小学校で行った東大和道場の演武会を見ていた彼は、昔の仲間達の試し割りと組手演武や、一般部の大人達の演武を見て、極真空手の凄さとカッコ良さに、彼自身が改めて気付いたとの事で、演武会の翌週には東大和道場に再入会となった。
4歳の頃よりも色々と分かるようになっていた彼は、2年生からまた新たに東大和道場での極真空手の稽古を再開。
体が大きい彼は、2年生の頃には既に、【毎回必ず、小学5年生でしょ?と、いろんな人に言われる…】と、少し飽き飽きとした様子で、仁君が話していた記憶がある。
それからしばらくすると、コロナ期間があり、組手試合には出れない状況が続いた事もあり、今大会が彼にとっては組手試合には初出場となった。(先月の支部内(型)交流試合にも初出場して、その時には準優勝をしている)
元々、物凄く優しくて温厚な性格で、組手稽古中でも練習とはいえ、仲間達を本気で叩いたりも、あまり好きな方ではない。(その為、彼よりも年上の先輩達と組ませて稽古をさせる事がよくある。先輩達にリードして貰いながら圧を掛けられる事で、仁君自身が本気になるしかなくなるから、気付けば実力がアップしていく)
気は優しくて、見たままに力持ちなのが秋庭仁君だが。
数年前までは【ああ、もう無理…絶対に出来ない…】が、稽古中や、何かの稽古をやる際の彼の口癖だった。
それらも日々の稽古で修正していけたし、最近では文句を言わずに稽古に取り組める様になり、幼い後輩達の御手本となる先輩としても実際に逞しくなってきている。
性格はとにかく明るいし、礼儀正しいのも彼の長所だ。
そんな彼が今大会、初出場の組手試合で5試合を全て勝ち抜き、見事に優勝したんだが、5試合のうちの3試合は延長戦を重ねており、決して楽な試合ではなかったが、延長戦になっても、彼は前に前に出続けて、苦しくても決して諦める事もなく、最後まで勝つ事に徹している姿にとても心を打たれた。
大会一ヶ月前の彼を見ていて、感じながら日々、仁君に話してきたのは。
【仁の場合は、対戦相手が仁よりも小さい事が殆どだから、顔面殴打の反則をしない事と、相手選手からの上段の技ありを貰わなければ、今度の支部内は、仁は優勝出来るよ、先生には分かるから。ただ、毎日の稽古で本気を出さずに何となく流したり、手を抜かなければだよ勿論。仁の苦手な腕立て伏せも、ダッシュも、ミット打ちも、流したりせずに自分の為と思って、いつも全力でやってごらん。この数週間それが出来れば、仁は必ず優勝するから】と、彼には毎回話していた。
現在の彼は小学4年生ながらも、身長は152センチ、既に65キロもある体重をハードなトレーニングで操るのは、彼自身が物凄く根気のいる事で、走るのも飛ぶのも、腕立て伏せもスクワットも、他の仲間達よりも、絶対にキツいはずなのを当然に理解してもいるが、それを敢えてきちんとやらせるように常に目を掛けている。
体の大きな彼がそれをする事で、人の2倍、3倍の強さになれるはずだから。
最近の稽古では、明らかに筋力がアップしていて確実に足腰が強くなり、駆け足も速くなり、稽古中のスタミナもパワーも増していた。
まだまだ支部内交流試合の初級クラスを優勝出来たばかりだから、実際にはもっと長年を継続していけたら、彼はもっともっと更に強くなれるから。
幼少期からの経緯があり、今後の彼に更に自信の積み重ねをして貰いたいという気持ちと、今大会に向けた稽古の頑張りと、彼が実際に5試合を戦い抜いた(延長戦を3試合含む)頑張りに感動して、彼に敢闘賞となる【せたひが賞】を渡してある。
道場に通う大勢の生徒達には、レベルの高い大会での好成績を目指させている訳じゃない。
生徒達にはそこを求めて、空手を教えている訳ではなくて、長く続けていく為の稽古の一環として、目の前の大会に向けてやるのであれば、真剣に取り組む物だよという事で、常に生徒達と接しているから。
試合に出るからには真剣な気持ちで、稽古は常に一生懸命にやらなくてはいけないという事。
それが出来たら、試合では勝っても負けても、得られる物が本当に沢山あるから。
長い年月を掛けて、そういう事を常に伝えているという事で、勝ち負けに一喜一憂するのではなく、また、人と自分を比べる物でもなく、彼らの一生涯に役立つ為の空手を指導しているという事。
一生懸命やっている日々の空手の稽古が、気付かない間に彼らの心身を鍛えて、その他の物事全てに役立つ物として繋がっていくから。
〈以下、水曜日少年部2クラス目〉
中学生達も稽古に参加した。
フィジカル強化と対人稽古を中心に。(受け返し、スパーリング、組手稽古を全員で)
週末の秋季関東大会、出場選手達の最終調整とした。(煤賀瑛心君、和気清大君、煤賀南羽さんが出場する)
支部内交流試合に出場してきた、生徒達全員と話をしながら。
みんな本当に頑張った。
2021/11/24