第25回全日本ウエイト制大会の軽重量級3回戦にて対戦したロシア選手について書きます。
他のロシア選手との試合同様に思い入れのある試合です。
勝負は たったの2分間で決まりました。
左下突きが凄く強く、スタイルとしてはレチ・クレバノフ選手と良く似ています。
この大会では3回戦で正道会館の全日本チャンピオン、外岡選手が勝ち上がってくると予想していたので事前に かなり対策を練りましたが 実際には外岡選手を圧倒して、ヨーロッパ、ウエイト制王者のフセイン・エリハノフ選手が勝ち上がってきました。
外岡選手との試合を観ていて かなり、やばいなと。
後ろ蹴りや突きの威力、最後のラッシュ。
はたして俺が やり合えるのか…と、かなり警戒しました。
やるしかなかったですから近藤先輩が世界大会でレチ・クレバノフ選手との対戦で使った作戦を、もしも相手のパンチがキツかったら使うようにと、試合数分前に伝授して貰いました。
かなり即席でした。
田口支部長には『打ち合いするんだろ?強いか弱いかだ。』と気持ちを駆り立てて頂きました。
3回戦を勝ち抜き絶対に2日目に残るんだ、という気持ちが、心の底から湧き出ていました。
自分の名前を呼ばれる瞬間、『人生懸けて戦ってみろ!』と、心底思えました。
試合が始まり、自分から打ち合いを仕掛けました。
数発パンチを貰った瞬間に 身体を切って、かわしながらも これは、やばいなと。
まともに貰ったら効かされてしまうと、瞬時に感じて 試合開始10秒くらいで先輩からの作戦に切り替えました。
作戦とは、相手の左下突きが強いので自分がサウスポーになり右手を相手の脇腹にパンチを叩く フリをしながら、腕を刺してしまう、という物でした。
試してみて自分でも驚いたんですが 完全に相手の得意な左のパンチを封じ込んだ感が あり、その隙に これでもかと胸のパンチを8連打10連打と叩き込み ひたすら前に出ました。
胸のパンチをあまり、受けずに もろに 貰う弱点を見抜き気合いで前に出ました。
倒されたくないですし、(絶対、本戦で決めてやる!!)と必死でした。
判定の瞬間、旗が自分に2本。
最後のエリハノフ選手のラッシュが 凄かったので引き分けかなと思い、延長に行く気持ちに切り替えましたが、主審の3本目の旗が自分に上がりました。
嬉しさというより、勝てた安心と、アドレナリンで 雄叫びに近い気合いをあげてしまいましたが本当に、スリリングな試合だったのを覚えています。
この大会は自分にとっての復帰戦でした…
自分の身に起きた出来事に、苦しみ抜きましたが空手だけは諦めませんでした。
誰もが選手としての今までの様な稽古、空手復帰は無理だと思ったみたいですが、命が懸かっていても、稽古を辞める気は毛頭ありませんでした。
空手を辞めるも辞めないも、決めるのは自分だったので自分の運命を信じようと心底思いました。
今でも それなりの後遺症はありますが こうして毎日、 それ以前と変わる事なく普通に空手が出来る事が本当に幸せです。
第25回全日本ウエイト制大会は、そんな出来事があった後の復帰戦でした。
ロシアの強豪を破り、俺は、まだまだやれるんだ!と再確認出来た試合でもあります。
2日目の準々決勝では優勝した別府選手に敗れましたが、本当に、色々試しながら望んだ大会なので思い入れがあります。
押忍