真剣勝負の末に。

たった2分間で終わったロシア王者イゴール・ティトゥコフ選手との試合。

技術面や駆引き等、文面にして伝えきれない程、濃厚な2分間ではあったのですが今も興奮が止みません。

4年前はお互い 死に物狂いで延長戦を繰り返しました。

6分間の間に途中、肋骨をへし折られましたが 最後の1秒まで諦めずに戦い抜きました。

最終延長戦1-4の判定で負けました。

今も時々 折れた場所が痛みます。

本物の強豪選手であり クレバーで穴がない、自分が好感を持っているロシア選手です。

今回、壇上に上がる前にアナウンスや審判交代の為に階段下で長い時間を待たされました。

近くにセコンドも誰もいない空間で反対側に目をやると、イゴール選手も明らかに緊張しているのが伝わってきました。

自分も極限の緊張感でした。

「もしかしたら死ぬかも知れない」

と本気で思えた程、危険な相手でしたが幸せな時間帯でもあり、萎縮するような恐さは微塵もありませんでした。

あちらも自分を研究しつくした様子が直ぐに解りました。

本当に強かったです。

自分の戦いをさせて貰えずに終わりました。

判定直後、満面の笑みと、優しい表情で『サンキュー・ソー・マッチ』と何度か呟いて自分を抱き締めてくれました。

自分は悔しい気持ちはもちろん有りましたが 清々しい気持ちと「今回は完敗だな」と感じました。

今回、唯一 彼に申し訳なかったのは延長戦も繰り返せなかった自分の不甲斐なさでした。

怪我もなく 無事に壇上を降りましたが そんな切なさも残る心境でした。

あの迫り来る極限の心理状態をまた味わいたいです。