イゴール・ティトコフ選手との試合。

第40回全日本大会、2回戦で、元ロシア王者のイゴール・ティトコフ選手と戦いました。

身長173センチ、体重85キロと、ロシア選手にしては小柄な選手ですが一言で、とにかく強かったです。
向かい合った感じが 小さいなと思いましたが、自分自身は更に小さいです。
今までの大戦相手からは一体、自分は どう見えてるのだろうか。
イゴール選手に関しては、事前にビデオで かなり研究していました。

第9回世界大会で5回戦まで勝ち上がり、田中健太郎支部長と、延長戦を戦っていた選手ですから 強いのは 知っていましたし とにかく必死で戦う覚悟をして望みました。
事前の研究では かなり身体のバネがあり、パンチが強いのと、回転胴廻し蹴りのスピードが、とても速いのを警戒してたのと組手が、しつこいなという印象がありました。

初戦を観た時点で 噛み合うと思いました。

試合が始まり、ガンガン、自分から仕掛け、突きの連打と下段廻し蹴りで前に出ました。

何度も回転胴廻し蹴りを見切り、本戦は引き分け。

延長でも打ち合いが続く中、接近戦から離れ際、イゴール選手が何度かステップを踏んだなと思った瞬間、突如後ろ蹴りを放たれていました。

ガードをあげた、右の脇の下辺りを、真横から後ろ蹴りを貰いました。

脳に響く『キーン』というような高い音と一瞬の鋭い痛みが走り(…折れた)と、すぐわかりましたが そのまま構う事なく前に出ました。

一瞬だけ痛みと効かされた息苦しさが同時に襲ってきましたが気になりませんでしたし無我夢中でした。
延長戦も引き分け。

体重差もなく、最終延長に入りました。

かなり、疲れていましたが諦める気持ちは毛頭なかったので最後まで打ち合いをしました。

結果は、1ー4で判定負けでした。

悔しかったですが全力で戦ったので仕方ないなと。

舞台を降りて歩き、足と尻の筋肉が張り裂けそうなくらい、パンパンに疲労感がありましたので座り込んで休んでいましたが突然、たまたまか、通り掛かったのかは分かりませんが、イゴール選手が挨拶に来てくれたので すぐに立ち上がり握手を交わしました。
セコンドを努めてくれた後輩でもあり、大親友の網谷君がイゴール選手に英語で話しかけていたのを覚えていますが 自分は咄嗟に疲れていないフリをして日本語で挨拶をしました。

この時にはロシア人選手とは過去に何人も試合をしてきていましたので もう慣れていましたが どのロシア人選手も弱かったためしがなく、全員これでもかという程、強いのが彼らの特徴でした。

試合が終わり しばらく痛みも ありませんでしたが夜、悔しくて先輩方と酒を飲んだら痛みが襲ってきて、たいして飲めずに翌日も試合を観に行きました。

すでに右腕を動かす事も、ままならなかったのと折れた場所が悪く、治るまで、酷い痛みが続きました。
場所は右胸の上を真横から折られた形でしたが1〜2週間は咳をしたり笑うだけで『ぼりっ…』 と骨が完璧に、ずれる感触が、もろに続き、…これが痛いの何の!!

クシャミをする瞬間も、モロにずれるので、かなり恐怖でした。
この時折れた場所の痛みに比べたら、脇腹等の肋骨骨折も、何度も経験してきましたが、可愛い物だなと。

もしも…は、ないですが、あそこで勝っていたら翌日は普通に棄権でした。

イゴール選手は、見た目の印象よりも強さがあって常に、こちらを倒しにきます。

終わってからの痛みが印象に残った試合でした。

押忍