優勝
高橋光鷹(東大和)
決勝戦での延長戦終盤…起死回生の右上段廻し蹴りが炸裂した…
物凄い打撃音と共に会場が湧いた。
本部席で、大きな声を上げてしまう程、驚いた。
決勝戦開始から【必ず勝つだろうな】と観ながら見守っていた。
身長で10センチ、体重で20キロも光鷹君を上回る、大きな強豪を相手に、必殺の上段廻し蹴りを決めて、特選クラスでの【初優勝】に輝いた瞬間だった。
まさに【起死回生】の上段廻し蹴りだった。
(本戦0-1)(上段廻し蹴りによる技ありを含む延長戦5-0優勢勝ち)
初戦、準決勝戦ともに、打ち合いでも圧倒、常に上段廻し蹴りによる技ありを含む判定勝ちで決勝戦に進む。
彼にとって組手試合での初優勝の瞬間だった。
前回、前々回と、特選クラスでは常に準優勝だった。(延長戦、主審による2-3で優勝を逃したり)
稽古は、みっちりと、やり込んで来ていたので、最近の組手の強さを含め、間違いなく優勝すると感じていました。
彼にも、それを語りかけて来ました。
最近では1学年年上の、6年生特選クラスの強豪達を押し込む瞬間も沢山あり、必殺の上段廻し蹴りを度々放ち、決めていました。
彼はセンスがあり、器用ですが、基本的に大きな相手とも正面から打ち合いながらの、真向勝負の組手をします。
幼い頃や、中学年の頃まで組手では、よく泣いていました。
一緒に空手を頑張っていた、お兄ちゃんが野球の道に進むも、『沢龍(お兄ちゃん)の分も空手を頑張ります』と彼は自分に話し、一人で空手を続けて来ました。
諦めずに続けていたら、特選クラスで結果を残し始め、関東大会等の大きな大会でも勝ち星を獲得して緑帯を取得しました。
彼が今年、このタイミングで特選クラスで優勝したのは本当に価値があります。
彼は来年、6年生になります。
東大和道場の少年部をリードしていく立場になります。
2学年上の荒木拳三君、1学年上の杉浦翔君、雨宮伶空君、川内翔太朗君、その次に現在、5年生の高橋光鷹君が続いていきます。
光鷹君は、とにかく穏和で優しい性格です。
幼年部、低学年の頃には年明けになると、正月に餅を沢山食べて、顔がふっくらして、笑顔で道場へ来ていた印象があります。
あどけなかった彼が、逞しくなり、成長していく姿、特選クラスでの激戦を圧倒的な強さで制していく姿に涙が出そうになりました。
6年生の【最強決定戦】に匹敵する、熱さでした。
何故なら、彼らは幼い時期から空手を積み重ねて来て高学年になり、世田谷東支部の最強を競うまでに育って来た経緯に、やはり込み上げる物がありました。
低学年から高学年に到るまでの全ての生徒達、それぞれに全てのドラマがあります。
感動を生むのは、彼らの長年の努力、生徒達の成長、日頃の直向きさから来る部分です。
来年は、更に逞しく成長した高橋光鷹君に、東大和少年部の後輩達を牽引させていく事をイメージしています。
彼には来年、国際大会へ出場させる事を考えています。
彼へ…『自らの努力と実力で掴んだチャンスと、国際大会への出場権利があるのだから、もう少し強くなってからと、先伸ばしにするのではなく、目は高く目標を定めて、今からそれに向けて、また必死に努力も出来るし、目標を高く持つから更にヤル気も出て強くなる訳だし、来年は、必ず国際大会へ挑戦するべきだよ、先伸ばしにしたら、更に1年先になる訳だから』と話しました。
起死回生、必殺の上段廻し蹴りと、今後の彼の大きな挑戦。
更に本物の【光る鷹】になって貰いたいです。
彼と同学年の特選クラスに出場した、石河ローレンス君にも是非、光鷹君に追い付いて貰いたいです。
『こーよー(光鷹)と、戦いたいです…頑張ります』と、いつも笑顔で、天真爛漫なローレンス君。
彼も これからです。
彼らは同じ小学校の同級生であり、親友でもあります。