第48回全日本大会 初日を終えて。【今の気持ち】


11月5日(土)…第48回全日本大会を終える。

生徒の多田将太朗君が、フランス王者でもあり、2014ヨーロッパ選手権大会 中量級王者の実績がある、アントニオ・トゥセウ選手を相手に、見事に勝利を納めた。

アントニオ・トゥセウ選手は、今年6月に行われた【オールアメリカン大会】においても無差別で、第3位を納めている、25歳の、伸び盛りの強豪選手でもある。

身長184センチ、体重82キロの、体格から繰り出される、多彩な蹴り技により、対戦相手からは、技あり、一本勝ちも多く、強豪外国人選手の一人として、今大会でも注目をされていた。

【とにかく迷わない事】【格上の対戦相手な訳だし、相手の出方を観たり、上手くやろうとしたら、確実にやられるから、死に物狂いでやれば必ず、何とかなるはずだから】と、試合前の控え室で彼に伝える。

『押忍、解りました…』と、将太朗君からは覚悟の表情が読み取れた。

大舞台へと上がる、まだ19歳の多田将太朗君。

…常に先手先手で、世界の強豪へと果敢に攻め立てる。

時おり、長い脚から放たれるトゥセウ選手の強烈な上段による、内廻し蹴りが彼の側頭部を巻き込む。

トゥセウ選手の上段膝蹴りが、将太朗君の顎の近くを、すれすれに飛び交う。(上段膝蹴りは、見えなかったですが、たまたま、当たらない位置に来たので、何とか大丈夫でした…)と、試合後に彼が話した。

中盤から、トゥセウ選手が強打と圧力で前に出てくる。

強烈な打撃と圧力に一瞬、止まる将太朗君だが、すかさず得意の突き技の連打を、トゥセウ選手に浴びせ続ける事を止めない。

トゥセウ選手が明らかに嫌な表情をしているのを、控え室近くの【モニター】を通して感じ取れた。

【将太朗…いけるぞ、勝てるぞ】と、思いながら、青木さんと一緒に夢中でモニターを眺めた。

トゥセウ選手も最後は、全く退かないが将太朗君の突き技の回転も更に上がっていく。

そして、試合終了間際のラスト1秒…と同時に、将太朗君の渾身の、左上段廻し蹴りが、トゥセウ選手の顔面を捉え、よろつく、アントニオ・トゥセウ選手。

決して【まぐれ】では無かったと確かに感じていた。

彼には、その実力があり、世界の強豪選手を相手に完璧な勝利を納めて、難関を突破してみせた19歳の多田将太朗君。

彼の勝利を、モニターを通して凄く喜んでいた青木さん。

自分も、本当に嬉しかったのと、【…あと、○○試合後には、俺の試合が来るな】と、気持ちを高める事に再び意識を集中させる…

【…今回、もしも納得がいけば…現役の選手は、もう引退でも構わない】と、この一ヶ月と10日程を、本気で考えながらも、ひたすら恐怖に感じてきた、【極真空手最強の外国人選手】との再戦が、刻一刻と迫っていた。

明日の、全日本大会を終了してから、今回の対戦相手への想いや、過去からの経緯を綴れたらと思います。

【試合には負けてしまい、意味はないのかも知れないけど…また、月曜日から、自信を持って子供達へも、空手の指導が出来るな…】

自らの中では【納得】のいく答えだったと感じます。

初出場となる全日本大会で、強豪外国人選手から大金星を挙げて、二日目に進出した多田将太朗君。

明日、二日目の初戦 (全日本大会3回戦)では、全日本ウエイト制大会の(中量級、軽重量級)で【2階級制覇】を成し遂げている、中村昌永選手(兵庫・大阪南支部)との対戦となります。

強豪ベテラン選手でもある、中村昌永選手に対して、若手で勢いに乗る、多田将太朗君の快進撃に期待が掛かります。

2日目に勝ち残った多田将太朗君と、彼のセコンドを努めてくれた、細川大吾君。

細川大吾君は、自分のセコンド役も同時にこなしてくれていました。

三茶の青木さんは、長い付き合いでもあり、毎試合の朝のアップから全てを協力してくれています。

色々、本当に有り難かったです。

試合後の、【 青木様のダメ出しの御時間 】を経て…誰も居なくなった、東京体育館アリーナ客席を通り過ぎ、負けた後の気怠く、重くもある荷物を引き摺りながら、階段を登り、体育館入り口へと向かう。

森善十朗選手、伊藤慎支部長のみが、舞台上で、明日のルール説明の、仕事の打ち合わせをされていた。

…大変だなと思いながら、静かに東京体育館を後にしようと、入り口から外に出ると…(既に…17:30分を過ぎていた)

荷物を片付けるのを、モタモタしていた為、青木さんにイライラされながらも、東京体育館の会場を出ると…

…数名の人影が…(全く気付かず、通路の網を潜ろうと、迷っていると、青木さんに『先輩…何やってんすか!…こっちすよ!』と、キレられる。

すみません…青木さん。

その先には、なんと…佐野先生が目の前にいた…(田無の三島さんも一緒にいた)

『…有り難うございました』(佐野先生には、今大会の自らの意気込みを、試合一ヶ月前から話をしていた)

その後、聞かれた質問にも素直に答えたつもりだが、何を話したかったか、何を話したかも、あまり覚えていない。

『佐野先生、誰か待っているんですか?』と暗闇の中で、本心で尋ねた…

『そこまで送ろうと思って(東京体育館から千駄ヶ谷駅まで) 金久保が出て来るのを、待っていたんだよ! …  カパナーゼ、どうだった? …内股を蹴っていたけど、金久保の膝は大丈夫だったのかい?』と、いうような話をされていたかと思う。

誰もいなくなった東京体育館の入り口前で、待っていてくれた佐野先生。(あれだけの人がいて、大きな会場から、最後に出て来るか等、解らない中で、自分が身支度を済ませて会場を出るのが一番最後となり、1時間以上は、掛かっていたかと思う)

『佐野先生、火曜日(ミーティング前)の朝練はやりますか?』と、別れ際に問い掛ける。(佐野先生が必要であれば、火曜日からやれるし、当たり前に、やるつもりで問い掛けた…)

『…火曜日は休みます! … 少し(稽古を)休みなよ! 』と、笑顔の佐野先生が、自分に促してくれる。

【…あぁ、休みなんだな…】と、率直に感じた事と、改めて、佐野先生の優しさや、日頃からの、人間的な色々な、大きさを感じさせられた事や、その大きな心に感極まっていた。

青木さんや、細川大吾君も色々と本当に有り難うございました。

応援して頂いた皆様方、本当に有り難うございました。

【現役は最後にする】【命を懸けて挑む】【やるからには何が何でも勝つ】と、本当に、一心不乱に挑めた試合でもあり、それを観に来て下さった方々には、本当に感謝しています。

神代さん、馬場さん、太田さん、涼介君、丸川みのりさん、宮本さん、世田谷東支部の皆様方、応援をして頂き有り難うございました。

カパナーゼ選手との試合の、セコンドに入って下さった真銅先生、小林龍太君、多田将太朗君、細川大吾君、青木さん、加藤先輩も有り難うございました。

負けてしまいましたが… 本当に、命懸けで戦えたとは思います。

…2回戦敗退でしか無いのですが、今やれるべき、それまでに、やるべき事は全て、精一杯にやって来れたと、自負しています。

協力してくれた方々へ、感謝の気持ちばかりです。

今年は、実践の試合へ出場する事は、第48回全日本大会で最後としますが、次の目標に向けて、精進出来ればと思います。

忙しい中、試合を観に来てくた、長年の親友にも感謝しています。

試合後に、舞台裏の選手控え場所の、柵の前まで、親友が挨拶に来てくれていた。

本当に楽しんでくれた様で、それは、とても嬉しかった。

試合後の舞台裏で、カパナーゼ選手と再度、握手をした際に、ロシア人である彼と、自らの片言の英語で、話をした直後には、親友が話し掛けに来てくれていた。

カパナーゼ選手との、ほんの少しの会話は、タイミングかあれば後々に綴れたらと思います。

舞台上…舞台裏でも…試合場以外では、凄く優しい人なのだなと、直ぐに感じ取れた瞬間でもあった。

19:00帰宅後、ウエイトトレーニング。