ゴデルジ・カパナーゼ選手との試合。

第22回全日本ウエイト制大会 軽重量級の初戦でロシアのゴデルジ・カパナーゼ選手と戦いました。

世界大会や全日本大会でも強豪選手として知られるようになったロシア選手ですが、とにかく強いと思います。

軽重量級の、64人のトーナメントの中で、たった1人しかいなかったロシア人が、何故か初戦で自分の隣に、組み込まれていました。

前年度の全日本大会で、ダルメン選手と戦っていたので特に抵抗はありませんでしたが当時、カパナーゼ選手の情報が全くなかったので不気味さはありました。

当日 自分はシードだった為 カパナーゼ選手の初戦を観る事が出来ましたが 初戦の日本人選手は、ボディを効かされて胴廻し回転蹴りで のばされてしまったのを目の当たりにしました。

左の中段廻し蹴りと下突きを特に、警戒しました。

海外にいる兄が、自分の試合を初めて生で観に来てくれた大会でしたし、2階席で心配そうに、そして楽しみに見守る兄の前で初戦で負ける訳にはいきませんでした。

『外国人と戦争だ、絶対俺が勝って舞台を降りてくる』と自分なりに覚悟を決めて舞台に上がりました。

後先 考えずに真っ向打ち合いを仕掛けました。
…強かったです。

本戦、何度も下突きでボディを効かされて、悶絶しそうになりました。

あまりの強打に焦りましたが耐えて、効いていないふりをして、回復するまでの間も、ひたすら打ち合いました。

本戦終盤の あちらのラッシュで左右に揺さぶられながらも必死についていきましたが旗が1本カパナーゼ選手に、あがりました。

延長に入り、向こうも疲れ始めたのが分かり、とにかく叩いて攻め立てましたが今度は自分に旗が1本あがりました。

体重判定でも勝負が着かず 最終延長に突入しましたが 自分は心臓が飛び出るかと思うくらい きつかったのを覚えています。

初戦という事もありましたので必要以上に ばてたのも ありますが 相手の攻撃力が半端でなかったので自分も全身、力んで 戦っていたんだと思います。

とにかく突きのタイミングの良さと、威力は驚異的でしたし、その部分だけをみたら、ダルメン選手より全然強いと感じましたが 『こんなとこで、死んでも負けるか!』と、思いながら、ただひたすら打ち合い 足払いをされても、出なくなりつつある声を振り絞って気合いを入れたのを今でも覚えています。

最後、カパナーゼ選手の心が折れたのが、はっきりと分かりました。

ラッシュで畳み掛けて 最後まで前に出続けました。

判定の瞬間、自分に白い旗が全てあがりました。

舞台を降りた時には ふらふらで立っていられなく、ベンチに座り込んでしまいました。

酸欠で目の前が真っ白になり、意識が遠のきそうになるのをを感じました。

控え場所に戻った時には心臓が痛いと思うくらいに疲れていました。

その後、2回戦を勝ち、2日目の3回戦で、元日本代表選手の野加選手を破り、準々決勝で木立選手に負けました。

自分が、当時のカパナーゼ選手に勝てたのは諦めない気持ちの部分だけでしたが、もう2度と戦いたくない相手です。

おそらく 今までで、苦しかった試合トップ3、に入るかと思います。

思い出の試合の1つです。

押忍