組手試合への挑戦。【池田天君】

空手と東大和道場が大好きで、2年半の間に沢山稽古に通い続けて来た池田天君。(小学5年生)

毎日、稽古に通いながらも温厚で優しい性格の彼は組手が苦手だった。

組手試合にはずっと出たがらなかった為、無理強いはせず、彼のスタイルがあるだろうし、いつか本人が本当にやりたくなった時にやれば良いからと、自由に空手を楽しんで貰う様に接して来た。

運動神経も良くて、スパーリングも上手に出来る為、センスも感じていたが、身体の線が細く、強い攻撃を受けて技を効かされて泣いてしまう事もよくあったが、仲間も道場も大好きだった為、空手を嫌いになる事も無く、一生懸命に道場に通い続けて来た。

そんな中で気付くと徐々に、苦手だったスパーリングや組手で、以前なら確実に泣いてしまう打撃を受けても耐えられる様になり、本来の前向きな性格もあり、少しずつ組手を楽しめる様になって来た。

稽古は真面目で技も上手だし、今年は黄色帯も受けたいという事もあったみたいだが、彼自身の気持ちで、今回の支部内交流試合に出場したいと話をしに来てくれた。

それだけでも物凄い成長を感じたが、既に組手を痛がりながらも、楽しめる様になっていて、稽古後には清々しい笑顔を見せる様になっていた為、全然大丈夫だなと感じてもいた。

是非、挑戦してみなさいという事で、この数ヶ月は、それまで以上に空手を楽しんでいた様に思う。

それともう一つは、6人兄弟の真ん中だという彼は、幼い後輩達と接する事も好きで、新しい後輩達に優しく上手に教えたり、触れ合ったりも好きだったが、同じく組手を苦手としていた後輩でもある、宋華洋君も今回の組手試合に初挑戦するという事で、先輩として自分も負けていられないし、やってみようという気持ちになった様だ。

いざ試合になると、普段の稽古通り、積極的に攻めながら、本当に一生懸命に戦えたし、勝てるのでは?と感じる様な、今の彼らしい凄く良い試合を見せてくれた。

写真=左が池田天君

初の組手試合は善戦しながらも、惜しくも僅差の0–3で判定敗退(5審判制)ではあったが、凄く良い試合内容だったし、帰りには清々しい表情を見せながら話をしに来てくれた。

そして今回の試合前に…5月には引っ越す事となった彼は、空手を退会する事が決まり、既に退会届けを提出してもいた。

【最初で最期の組手試合だから、絶対に勝ちたい…あー、勝ちたいなぁ…】

試合前には道場で、笑顔でそんな話しをしていた彼。

5月1日には引っ越しをする為、彼と会うのは、試合場でのこの日が最後となっていた。

閉会式後にも話をしたが、今後は空手をやれないかも知れないが、今回、組手試合に挑戦して良かったという気持ちを彼が聞かせてくれた。

遠いかも知れないが、機会があれば、またいつでも遊びに来て貰えたらと思う。

空手を通じて、精神的にも明らかに逞しくなった今の天君なら、これから先、何に挑戦しても一生懸命に出来ると思うし、2年半を一生懸命に空手を頑張った部分、今回、勇気を出して組手試合に挑戦した事、それに向けて一生懸命に努力した事も含めて、必ず今後の彼の自信として残る物だと思うし、何かの役に立つはずだという話を彼にはしたかと思う。

これからも明るく元気で頑張って貰いたい。